在宅療養のケアポイント:感染症

最近では、在宅ケアも医療環境のひとつとして大きな役割を担うようになってきています。がんの治療、療養においてもその状況は同様です。現在では自宅での療養を希望する人が増え、また、在宅療養をサポートする医療機関も増えてきています。

しかし、在宅療養ならではのさまざまな注意点があります。感染症予防もそのひとつです。

今回は在宅療養のケアポイントとして感染症について確認し、予防のポイントをご紹介しましょう。

体の状態は細かく把握しよう

在宅療養と一口でいっても、さまざまな段階があります。例えば一通りの治療を病院で入院しながら終えた後、自宅に戻って療養生活を送るという場合と、入院せずに通院をしながら抗がん剤投与などの治療・療養を行うという場合とでは注意しておくべきポイントも異なります。

通院治療を行う場合

通院しながら治療を行う場合には、放射線治療後、抗がん剤の投与後などは体力が著しく低下することを想定しておく必要があります。そのため、さまざまな感染症を予想して、口内ケアをはじめ体の清潔を維持するためのケアが必要です。食事においても、生ものは禁止になる場合があります。通院する際に公共の交通機関を利用するのであれば、マスクを着用するほか、頻繁に手を洗うなどの注意を払う必要が出てくるでしょう。

こうしたケースにおいては、特に担当医、医療スタッフと緊密な連携を取りながら、体の状態を的確に把握することがとても重要になります。

治療が一段落した後の在宅療養の場合

一方、一通りの治療は入院をしながら終え、体力の回復を見ながら在宅療養へ進んだ段階であれば、衛生面での注意を怠るわけにはいきませんが、それほど神経質になることはありません。生活の質の向上や社会復帰のため、できる範囲で外出も心がけ、気力、体力ともに充実させていくことが大切です。

在宅療養の場合も、感染症を予防するために、患者本人と周りの家族が体調を常に把握するようにし、みんなで注意していくことが大切です。

感染対策の基本は衛生を保つこと

感染症が起きるメカニズムを見てみましょう。体の防御力が弱い部分、例えば傷がある部位、常に点滴などの管を通している部分などから、微生物(細菌、ウイルスなど)が体内に侵入した際に、体の免疫力よりそれら微生物の増殖活動のほうが勝っているときに感染症が起こります。つまり、「体内に微生物が侵入すること」、「体内に侵入した微生物が増殖すること」の2点が感染を引き起こす要因になります。したがって、感染症の予防は「体内に微生物が侵入するのを防ぐこと」につきます。

皮膚や粘膜の衛生を保つ

微生物はいろいろな場所に存在しています。まずは体を清潔に保つことを心がけましょう。定期的に入浴するほか、入浴が難しい場合には、こまめに全身を拭き、下着や寝具を取り替えるようにしましょう。しかし、特別に医師からの指示がある場合を除き、全身を消毒する必要はありません。

ケア器材や薬液の衛生管理

在宅療養の場合は、自宅でカテーテルなどを利用することもあります。その場合には処置に使う薬液なども自宅で保存することになり、管理方法にも十分に注意を払う必要があります。

器材や薬液のほとんどは、すべて滅菌処理された状態で密閉されています。したがって、開封するまでは無菌が保証されていると考えましょう。こうした器材や薬剤は、一度開封したものは、たとえ使わなかったとしても使用済みとして処理をすることが必要です。再利用する必要がある際には、必ず医療機関で滅菌処理をしてもらいましょう。

使用済みのものは特定の保管場所に保管しておき、医療機関で処理をしてもらうようにします。

その他、自宅で使用している加湿器などの水も定期的に交換することを忘れないようにしましょう。

松葉杖やベッドの周辺など、常に利用する器材や設備については、直接傷口に触れるとは考えにくいので消毒をするほどではありませんが、こまめに洗浄することは必要です。

手指の衛生を保つ

在宅療養のケアにおいて、特に注意を払うべきポイントが手指の衛生です。手指の衛生は、患者本人はもとより、家族、介護スタッフも徹底する必要があります。

外出から戻ったときなどは殺菌効果のある石けんなどを用いて、手洗いをするようにしましょう。また、傷口、口腔内をケアするときに、医療スタッフ、あるいは療養中の本人の手指を消毒するようにしましょう。

まとめ

在宅療養における感染症予防は、体力が保たれている状態であれば、神経質になったり、必要以上に恐れたりする必要はありません。それでも、体内に微生物を侵入させ、増殖させないよう心がけ、手指や器具などを清潔に保つことが必要です。

また、感染症予防のためには、免疫力を高めるため、食事、運動、生活リズムなどを整えることにも気をつけるとよいでしょう。

参考: