きちんと眠れていますか?睡眠について再確認しよう

がんの治療中は、治療の副作用や先の見えない状況に精神状態も不安定となり、睡眠不足になりがちです。睡眠不足が続くと、倦怠感が生じやすく、体調を崩してしまう危険性もあります。そのため、がんの治療中や療養中は、健康なとき以上に休養や睡眠をきちんととる必要があります。

今回はとても大切な睡眠についてご紹介します。

睡眠の役割は?

睡眠の効果について、再度確認してみましょう。

睡眠の役割には、「脳と体の疲れを回復する」「ストレスの解消」「成長の促進と老化の防止」「病気の予防」「記憶の定着」があげられます。特にがんの治療中や療養中の場合に注目したいのが、「脳と体の疲れを回復する」「ストレスの解消」「病気の予防」という役割です。

睡眠は脳の疲れをとるだけでなくストレス解消にもつながるので、良質な睡眠の確保は、がんの治療や療養中の場合に非常に重要になります。また、睡眠中は骨髄で新しい血球が生産され、血行が促されます。それにより、抵抗力や免疫力も向上します。細胞の修復や再生、代謝の役割がある成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されることもぜひ認識しておきましょう。

まずは相談してみよう!

東京大学医学部附属病院吉内一浩医師による研究では、がんをはじめとする身体的疾患を持つ患者の2~6割が不眠の悩みを訴えていることが明らかになっています。そのため、「自分だけが眠れていないのではないか」「睡眠不足くらいで相談するのも気が引ける」と悩む必要は全くありません。十分な睡眠が得られないと、治療効果を最大限に得ることが難しくなったり、副作用を強めてしまったりする可能性も出てきます。そのため、まずは一人で悩まずに相談することを考えましょう。主治医をはじめとする専門家は、必ずあなたの状況に適した方法でサポートしてくれるはずです。

睡眠導入剤はどう考えるべき?

がんの治療や療養中に不眠の症状を相談すると、主治医から睡眠導入剤や精神安定剤の処方を受けることがあります。「睡眠導入剤は一度使うと癖になるのではないか?」「ずっと飲み続けなければならないのだろうか?」と不安を抱く人もいるでしょう。医師や薬剤師からの指示範囲での服用は、依存症になる心配は全くありません。しかし、自己判断で量の調整を行ったり、アルコールと併用したりすると、問題が生じる危険性があります。医師からの指示を遵守することが大切です。そのほか、安心して服用するためのポイントを以下にあげましたので、チェックしておきましょう。

  • 睡眠について問題に感じる内容を詳細に医師に伝える
  • 睡眠導入剤の服用にあたって心配なことがある場合は、納得できるまで質問や確認を行う
  • 睡眠導入剤の服用量、時間、期間をきちんと守る
  • アルコールと併用しない
  • 処方を受けた睡眠導入剤の効果についての感じ方を次回受診の際に主治医に報告する

自分の睡眠状態を確認しよう

不眠症の定義を見てみましょう。「寝つくのに2時間以上かかる(入眠障害)」「夜中に2回以上目が覚める(中途覚醒)」「起床時にぐっすり眠った感じがない(熟眠障害)」「普段よりも2時間以上早く目が覚める(早朝覚醒)」などの症状のいずれかが、週に2回以上見られ、それが1カ月持続すること。そして、不眠による苦痛を感じ、社会生活などが妨げられること。これらの全てを満たすものを言います。

「最近、眠りが浅く感じる」「短時間しか眠れていない気がする」と表現しても、不眠の程度が正確に伝わりにくいため、医療者側も判断に困る場合があります。そこで、睡眠状況について相談する場合には、下記のようなポイントについてメモを作成しておくとよいでしょう。

  • 寝つくまでの時間の長さ
  • 夜間の目覚めの有無と思いあたる理由(排尿、痛み、心配事など)
  • 起床時の目覚め方と感じ方(起きるのがつらい、眠った気がしないなど)
  • 起床の時間と実際に眠ることができた時間の長さ
  • 現在の睡眠の状況がつらいかどうか
  • 社会生活に支障を感じるか(日中に眠気や倦怠感がある、仕事に集中できないなど)
  • 週に何回くらい上記の状態を実感するか、それはどのくらいの期間続いているか
  • 処方を受けた睡眠薬や鎮痛剤の服用状況と服用した時間

他にも気になる症状や相談したいことがあれば一緒に書き留めておきましょう。

まとめ

成人に必要な睡眠時間の目安はこれまでは8時間と言われてきました。しかし、現在は日中の活動量やライフスタイル、ストレスの程度、病気の有無などによっても個人差があるため、「何時間睡眠をとるべき」ということはないようです。名古屋大学大学院玉腰暁子助教授らの研究によると、一般的に死亡リスク・生活習慣病リスクが低いのは睡眠時間7時間前後であるとのことで、同助教授は睡眠は時間の長さよりも質が重要であるとの見解を示しています。主治医をはじめとする専門家と一緒に、自分で満足のいく睡眠を目指して取り組んでみてはいかがでしょうか。

参考: