がんの療養中に知っておきたい豆知識!ふらつきの症状について

がんの治療中や療養中に、「ふらつき」や「めまい」を経験したことはありませんか?

「きっと疲れがたまっているからだろう」「薬の副作用に違いない」と簡単に考えていないでしょうか。

ふらつきやめまいは、手術による出血が多かった場合や薬剤治療の副作用、がんの転移など実にさまざまな原因によって引き起こされます。さらに、新たな病変にいち早く気づくための大切な手がかりにもなるのです。

早めに受診したほうが良い場合もあるので、今回は「ふらつき」の基礎知識をご紹介しましょう。

ふらつきの症状とは?

ふらつきの症状とは、具体的には「平衡感覚を失うことで足取りがおぼつかなくなること」を指します。人間は、目から取り入れた情報と耳にある三半規管から得た情報により、体の向きと傾きを適切に感知する機能が備わっています。目や耳にある三半規管の情報によって神経や筋肉が協調し、姿勢を変えても転倒することなくバランスを保持できます。ふらつきは、このバランスを保つ機能がスムーズに働かなくなるために生じるのです。

ふらつきと一言で表現しても、その原因には脳疾患、循環器疾患、耳鼻科的疾患などさまざまあります。今回は、がん治療や療養中に生じやすいものの中から、特に注意しておきたい症状とその原因に焦点を当ててご紹介します。

注意しておきたい原因と対処方法

  • 疲労の蓄積が原因のもの

がんと診断されたショックや治療などによる心身へのストレスによって、十分な睡眠や休養がとれず、ふらつきが起こることがあります。これは、自律神経の乱れによって生じるものです。

できる限り規則正しい生活を心がけ、気分転換を適度に行いましょう。夜間に十分な睡眠がとれていないと感じたら、日中でも可能なかぎり体を休める、昼寝を取り入れるなどの工夫してみてください。それでも改善が難しい場合には、主治医に相談しましょう。

  • 貧血が原因のもの

これは、手術や化学療法などによって酸素運搬作用を担う赤血球が減少し、脳が酸素不足となることが原因で起こるふらつきです。

薬剤の種類にもよりますが、化学療法の場合、治療開始後7~14日後に貧血の症状が現れやすいとされています。「この間の検査では、正常値内だったから大丈夫」と考えていると、貧血を見逃してしまうことがあるので注意が必要です。

正常なヘモグロビン量の40%以下になると、ふらつきのほかにも頭痛、耳鳴り、集中力の低下、不眠などの症状が現れてきます。こうした状態では、体のすみずみまで酸素を行きわたらせることが難しくなります。体が酸素不足になると、傷などが治りにくくなり、手足の冷えなども生じます。そのため、自覚症状が出たときはできるだけ早めに主治医に相談するようにしましょう。

  • 骨転移が原因のもの

がんが背骨に転移し、脊髄を圧迫することで生じます。がんの種類によっては、骨転移の可能性が高いものがあります。その場合はすでに主治医から、体の動きや痺れの有無などについて毎日セルフチェックするように指示されているでしょう。しかし、それ以外の人も骨転移が原因で起こるふらつきについて理解しておくことは大切です。

「目を開けたままでの片足立ちが、ふらつきのため30秒以下しか続けられない」、「10歩連続したつぎ足歩行(片足のつま先に反対の足のかかとをつけて1歩ずつ前進する歩行)がふらついてできない、または普段のスピードでそれらができない」、「普段は手をつかずに立つことのできる椅子から、手をつかないと立ち上がることができない」という場合には、がんが脊髄を圧迫し始めている可能性が考えられます。脊髄の圧迫による麻痺は様子を見ても改善することはありませんので、できるだけ早く(一両日中に)受診するようにしましょう。

  • 脳転移

肺がん、乳がん、胃がんの人に多く見られる症状と言われています。転移の起こる部位や数によって症状の生じ方は人それぞれですが、特にふらつきの症状を生じやすいのは、小脳への転移です。小脳も体のバランスを保つためにとても重要な役割を担っています。「普段よりも歩くときにふらつく」といった症状が見られるときには、できるだけ早めに受診するようにしましょう。

まとめ

ふらつきは日常生活の中でも身近な症状です。しかし、「いつものこと」と軽く考えていると、新たな体の異変を見逃がしてしまうことになりかねません。大切なことは、ふらつきが「なぜ」生じているかという原因を明確にすることです。ふらつきやめまいの受診や相談は、決して大袈裟なことではありません。今回ご紹介した内容以外にも、耳が原因の疾患や循環器疾患などが見つかる場合もあります。貧血、骨転移、脳転移などを生じる可能性が高い場合には事前に主治医から説明がありますが、その際にも「どのような症状が見られたら」「症状がどの程度になったら」「どのタイミングで受診するか」などのポイントを具体的に話し合っておくと、落ち着いて対応することができるでしょう。

参考: