がんの再発への不安をどう取り扱う?

がんの再発への不安はなかなか消えないものです。予後が順調でも検査のときには毎回どきどきし、「こんな不安を抱えたまま一生過ごすなんてたまらない!」と思うこともあるでしょう。そのようながんの再発への不安は、どのように考えていけばよいのでしょうか?

誰でも感じる不安

がんの治療が一段落すると、少しずつ以前の生活に戻っていきます。がんのことは思い出したくもない、と治療していたときの自分自身からも遠ざかる人もいるでしょう。まるでがんに罹っていたことはなかったかのようにふるまっている人もいるのではないでしょうか。しかし、前と同じように暮らしているつもりでも、体のどこかに痛みを感じたときや、ふと、めまいがしたとき、「もしかして、再発?」と心に重たい思いがよぎることもあるでしょう。検査の都度どきどきし、結果が良好であっても漠然とした不安感が拭えない……。でも、これらは特別な感情ではありません。がんを患った人のほとんどが、がんの再発への不安を感じているのです。

「こんなふうにびくびくしながら一生過ごすのはたまらない!」と思うかもしれませんが、通常は3年、5年と時が経つにつれ、再発への恐れも少しずつ薄れてきます。そうはいっても、不安なものは不安ですね。

今回は、今抱えているこの不安感をどうにかしたい方へのアドバイスを以下にご紹介します。

不安感をコントロールしよう

再発の可能性を考えると、不安になるのはしかたのないことです。しかし、再発への心配で生きる気力を失うことになってしまっては元も子もありません。不安をつのらせて、食欲、睡眠に影響が出るようになると、体力低下、免疫力の低下へと事態は深刻になっていきます。免疫力の活性化のためにも、不安感を上手にコントロールし、気分が落ち込まないようにしていきましょう。

回復には時間がかかるものと心得る

不安感をつのらせないためには、気持ちの持ちようを工夫する必要があります。治療が一段落し、自分の生活へ戻ったとき、嬉しさの一方で、治療チームから離れたことによる不安感も生まれるでしょう。そのようなときに、思うように体が動かなかったり、スケジュール通りに物事が進まなかったりすると、気分が落ち込んだり、いらいらすることも増えるかもしれません。しかし、これでは自分の心が心配や不安を壮大させる温床となりかねません。

治療に耐えてきた体の回復には長い時間が必要です。しかし、がん患者は回復に必要な時間を少なく見積もる傾向があるとも言われています。思うようにいかないとがっかりしてしまい、ストレスもたまりますので、体の回復には時間がかかると考え、のんびりかまえましょう。

慢性疾患のひとつと考えよう

この先、ずっと再発の心配から解放されることはないのかと考えると、何にも楽しみを感じられないと思われるかもしれません。聖路加国際病院精神腫瘍科医長の保坂隆先生は、「治らないかも……という思いが不安の種であるなら、逆に治る病気には何があるか考えてみましょう」と、アドバイスをしています。さらに、「本当に治る病気というのは、もしかしたら、かぜや軽い気管支炎や、手術が間にあった虫垂炎などの感染症くらいなのではないでしょうか」とも語っています。例えば、糖尿病も高血圧も治らない病気とされ、罹患すると一生つきあっていくことになります。さらに、「がんも糖尿病や高血圧と同じ慢性疾患であり、特別なことのように考えなくてよい」と保坂先生は続けます。そのように考えると、心が落ち着く気がしませんか? がんも長くつきあっていく病のひとつと考え、いたずらに不安にとりこまれないようにしましょう。

それでも心配なとき

そうはいっても再発は気にかかるもの。現状では、再発の不安からうつ症状を訴える人も少なくないようです。

うつ病は、気分が落ち込むだけでなく、食欲がなくなったり、頭が重くなったり、疲れやすくなったりもします。

近年では、がん医療における精神面でのサポートにも光が当てられるようになってきました。不安感、気分の落ち込み、不眠といった悩みに対して、精神医学的な治療を含めた医学的なサポートを行うため、専門医が配置されるようになったのです。彼らは精神腫瘍医(サイコオンコロジスト)と呼ばれ、2010年度においては、都道府県がん診療連携拠点病院の84%に常勤で配置されています。

治療は、話を聞いてくれて共感してくれる「支持的精神療法」、「リラクセーション療法」、「薬物療法」などが行われています。

不安から抜け出せず、なぜか気力がわかないな…と感じたら、まずは担当医に相談しましょう。精神腫瘍医や緩和チームの紹介など、適切なサポートで不安な心をささえてくれるでしょう。

参考: