闘病記をつくってみませんか?

がんの闘病中は、何度となく心の葛藤を覚えることでしょう。不安や絶望感にさいなまれたり、一方で前向きに治療に取り組もうと思ったり、日々、気持ちが変化していきます。こうした心の変化を見つめ、冷静に現状を受け止める工夫のひとつが、「書く」という行為です。

自分の本当の気持ちを見つめるためにも、また、現状を受け止めるためにも闘病記を書いてみてはいかがでしょうか。

今回は闘病記を書くことのメリットと方法をご紹介しましょう。

書くことのメリット

まず、書くことがなぜ良いのか探ってみましょう。

1.物事を客観的に見直せる:

できごとや自分の正直な思いを書き留めようとするとき、意外とスムーズに書き始められないことに気がつきます。ふだん、頭のなかできちんと考えているようでいて、実はそうでもないからです。うれしいことやつらいことなどに出会うと、感情が強く揺さぶられて、事実を客観視できなくなるからでしょう。

しかし、文字にするには、おこったことを少し冷静に、客観的に見つめ直し、それに対して自分がどのように反応したかを思い返す作業が不可欠です。どこから書こうか、何から書こうか、どう書こうか……こうした作業が、出来事に対して冷静に向き合う機会となるのです。

2.感情を浄化させる:

書くという作業は、物事やそれに対する自分の気持ち、態度などを表に出す助けとなります。誰かに話すよりも、さらに深い自分の感情をはき出すこともできるでしょう。客観的とは相反する作業のようですが、主観と客観の両面を出せるのも、書くことのメリットだといえます。

3.クリエイティビティを存分に発揮できる:

創造性を発揮するのは意外に楽しいものです。書くことは苦手という人は多いのですが、書き始めるとその魅力にはまる人もいます。書き続けることで自分らしい表現や言葉の選び方が身につくだけでなく、物事のとらえ方、感じ方なども変化するようです。

自分の気持ちと向き合うためには「どう書くか」も大切

書くことでまず大切なのは、「何を書くか」でしょう。その日の出来事を網羅する「記録型」も良いでしょう。また、印象深い出来事に注目する「エピソード型」も良いでしょう。これを書かなくてはいけない、これを書いてはいけない、という制約はありません。自分が書きたいと思うことは何でも書き留めればよいのです。

もうひとつ書くことで大切なのは、「どう書くか」です。書くことは感情をはき出す行為ですから、書いたことで「スッキリとした」と感じれば、それだけでメリットを得たことになります。しかし、できれば、感情に留まらず、出来事に対する自分の考えを記すようにしましょう。そうすることで、時間が経って読み返したとき、自分の気持ちの変化や思考パターンに気づくこともできます。この気づきが、次の1歩を踏み出すヒントになるかもしれません。闘病記にスタイルはありません。

たとえば、がん治療に関するスケジュールや治療法について主治医から説明を受けた日には、その事実と主治医の意見を記しておきます。そして、自分がどう受け止めて、そのときにどのように思ったかについても書き添えれば、立派な闘病記です。

主治医に相談するときにも、こうした記録があれば、疑問点や伝えたいことが自分でも明確になり、より自分らしい闘病生活を送るための手助けになるでしょう。

メディアを選びましょう

「闘病記」をつけると決めたら、何で書くか、つまりメディアは何にするかを決めましょう。以下に代表的なメディアのそれぞれの特徴とメリットをご紹介します。

紙の日記帳

手帳などに書く日記は、自分だけが読むものの代表的なスタイルです。紙に鉛筆やペンで書くという感覚もほかにないものです。書籍のような形で物理的に残すことができるのもメリットでしょう。

パソコンや携帯電話で書く

最近は、携帯電話やモバイル端末にインストールして使える日記用のアプリケーションがあるようです。こちらも公開型のものではないので、気軽にメモを取る感覚で日記を書き始めたい人には、手頃なメディアといえます。

ブログ

パソコンや携帯電話で書き始めた場合、自分だけが閲覧できるものもありますが、広く第三者に公開し自分の書いたものを発信する方法があります。ブログと呼ばれるもので、無料でブログを開設できるサービスもあります。

ブログに闘病記を書き始めると、ブログに書いた文章や自分の気持ちは一般に公開されます。プライバシーを犠牲にするといえばそうですが、第三者からの共感を得られ、コミュニティへと広がりを見せる可能性もあります。たとえば、同じ病気で治療をしている誰かを励ますメッセージとなるかもしれませんし、逆に治療・闘病のアドバイスをもらい、自分自身が元気をもらうきっかけとなるかもしれません。

現在、こうしたブログで闘病記を書いている人は少なくないので、参考に探してみるのもよいでしょう。

また、利用するサービスによって、回覧者を制限したり、個人情報を隠したりする設定に差がありますので、利用前に確認しましょう。

まとめ

書くことの最大のメリットは、自分の心を客観的に見つめる時間がもてることだと言えます。自分らしい治療、療養生活を送る手がかりを探るために、自分にあった方法で「闘病記」をつけてみてはいかがでしょうか。

参考: