がんと向き合いながら仕事復帰を考える

がんと診断を受けると、特に仕事をしている場合には、どこまでどのような形で仕事が続けられるのか、休養するために現場を離れるにしても、仕事の引き継ぎはどのようにするのがベストなのか、また、治療が終わり、体力が戻ったあと、仕事復帰はどのように考えればよいのか、治療開始前にさまざまな段取りが必要になってきます。今回は、がんと向き合いながら仕事を考えるヒントをご紹介します。

仕事を休むときの理想的な段取り

まずは、担当医と相談をしましょう。治療、療養のスケジュールを決める際に、担当医に仕事復帰を希望していることを伝えましょう。治療・療養のなかで、どの段階で、どのような状態にまで回復すれば仕事へ復帰が可能なのかについて、きちんと確認しましょう。

次の段階として、担当医と相談して決めた治療・療養スケジュールを元に、職場の人事部または総務部で話をしましょう。直接の上司が同席するとなおよいかもしれません。そして、がん治療・療養にかかる時間、それに伴う体力回復目安などを説明しましょう。その際に主治医の診断書を提出するようにすると、事務手続きもスムーズになるでしょう。

そのうえで、就業規則による休職期間を参考に、職場からどれくらいの支援が得られるかを相談します。

さらに、復職を希望しているのであれば、それが可能であるかどうかも確認します。その際、以前の仕事内容が復帰後も可能なものであるのか、あるいは、外回りの営業が中心だったため復帰後は同じような仕事に就けないというような場合は、仕事内容を変更しての復帰ができるかどうかも確認しておきましょう。

以上のような確認を行ったうえで、復帰できる手続きも済ませ、治療に入るようにするのが理想的な段取りだといえます。

会社とは細かく連絡をとりあいましょう

1.休暇の取り方

就業規則の休職は法律で定められた制度ではありません。会社の判断で一定の規則を設け、それによって運用されています。ですから、会社によって、有給休暇と病気休暇のどちらを使って対応するのがよいのかが変わってきます。まずは、休暇の取り方なども含め、人事部、総務部と相談しましょう。

また、休暇を取っている段階で、治療効果が良く体力回復も順調であれば、予定より復帰を早めたい場合もあります。そのようなときにも必ず会社に連絡をとり、きちんと相談をしましょう。

2.復帰後の仕事内容

仕事に復帰した場合にどの程度の仕事をすることが可能かについて、あらかじめ担当医と相談しておきましょう。たとえば、「長時間のパソコン業務は可能か」「重い荷物の運搬などは可能か」「車を長時間運転するのは可能か」など、以前の仕事内容を担当医にくわしく伝え、そのうえで復帰後にどうするかを相談しましょう。

復帰後の仕事内容などに調整が必要になる場合は、そのことを先に会社に伝えておくことが重要です。

仕事の引き継ぎに関する注意点

体調が許し時間的にも余裕がある場合には、がん治療に入るまでに、担当している仕事のスケジュールや取引先のリスト、取引状況や担当者などを書面にまとめておきましょう。さらに、使っている資料などもファイルにまとめておきましょう。引き継ぎをする同僚には、一通りの説明をしておくとよいでしょう。

ただし、引き継ぎをする時間や体力的な余裕がなく、まとめた資料を渡すことができなかったとしても気にかける必要はありません。仕事のことよりも、今は自分自身の体調管理を優先すべきです。仕事の引き継ぎができないまま治療に入ったとしても悩まないようにしましょう。復帰後に、カバーしてくれた同僚への感謝を忘れず、自分も誰かのカバーをすることがあると考えるようにしましょう。

病名をどの程度伝える?

職場の同僚、上司、あるいは取引先のどの範囲まで病名を伝えるか、大きく迷うところです。しかし、少なくとも休暇のスケジュールなどを相談する必要があるので、上司、必要部署の担当者へは正直に伝えましょう。また、取引先への連絡をどうするかについては、会社員の場合は、引き継ぎの際にわざわざ担当者交代の理由を伝える必要はなく、自分との人間関係で判断するのが一般的のようです。また、フリーランスで仕事をしている自営業者の場合は、取引先に休業する旨を伝える際、病名を伝え、復帰後の取引再開を相談する人が多いようです。代行してくれる同業者、ネットワークで休業中の対応をすることも、職種によっては可能なようです。

復帰のタイミングと復帰後の心得

復帰のタイミングは、治療の進み具合、体力の回復具合、副作用の状況によるので、個人差があります。自己判断ではなく、主治医と相談して決めましょう。

また、仕事復帰については家族との相談も必要です。家族は心身ともに支えてくれる大切な存在ですので、時間をかけて治療後のこと、仕事復帰のタイミング、働き方などをよく相談しましょう。

仕事復帰後は、自分の体調と相談しながら、マイペースで仕事をこなすように心がけましょう。体力が回復しつつあるとはいえ、治療の副作用、後遺症などが出ている場合には、無理は禁物です。つらいときにはつらい、無理なことは無理、と言えることが大切です。そうした点も会社側と相談できるようにしておきましょう。

まとめ

がん治療を始めるにあたり、職場への連絡、仕事を休むにあたっての手続き、休む前の引き継ぎなどやるべきことはたくさんあります。気持ちの整理がつかない状態で、しかも体力的にもつらい時期にこうした手続きを行うのはわずらわしいかもしれません。家族に手続きを委任することも可能ですので、まずは体調優先で計画をたててみましょう。

参考: