がまんしないで相談しよう!がん治療中、療養中の食事摂取困難(栄養問題)

がんの治療中や療養中は、抗がん剤による治療やがん自体の症状により、多くの人が吐き気、嘔吐、食欲不振、味覚の変化など栄養摂取に関する問題に悩んでいます。

しかし、ある調査では「抗がん剤治療に吐き気や嘔吐はつきもの」「副作用だから仕方ない」と考え、実際に医療関係者に相談した経験があるのは、がん治療中で栄養摂取に問題を抱えている患者さんの4人に1人という結果も。つらい症状をがまんしながら治療を続けると、心身ともに過度なストレスを受けてしまいます。今回は、がん治療における栄養摂取の重要性を確認していきましょう。

がん治療中、療養中の栄養管理はなぜ重要?

がん治療中や療養中は、なぜ栄養管理に注目するのが大切なのでしょうか? がん細胞は成長のために大量のエネルギーを必要としますが、そのために炎症性サイトカインという物質を出します。サイトカインというのは身体の中に炎症が起こったときに出る物質で、この物質が発生した個所に血液を集めて修復するように働きます。

つまりがん細胞は炎症の振りをして、血液を集め、そこから栄養を摂取しているのです。

その結果、他の臓器などには血液が不足し、臓器が正常に機能しなくなったり、免疫力が衰えたりします。

そのために十分な栄養補給が必要なのです。

がん細胞が体内の筋肉や脂肪、正常な組織を分解して栄養としているためです。食欲不振、嘔吐、吐き気などで十分な栄養を摂取することができずにいると、がん細胞に栄養をとられ、体重減少、筋肉量の低下、さらには体力の低下をまねきかねません。

 QLife(「医療と生活者の距離を縮める」コミュニケーションをお手伝いする日本最大級の総合医療メディア)による、「抗がん剤治療経験者500名に栄養補給に関するインターネット調査」(2014年1月)によると、抗がん剤治療を受けた患者さんの半数以上が食欲不振をはじめとする栄養摂取困難だったという自覚症状があったとのことです。ところが、相談した経験のある人はわずか4人に1人の割合。栄養摂取が不足している状態で、抗がん剤などの治療を行っている可能性が高いと考えられます。

十分な栄養摂取ができないまま抗がん剤治療を行うと、抗がん剤を解毒する酵素のはたらきも弱まります。そのため、血中の薬の濃度が高くなり副作用が強くあらわれることも。手術を受ける場合も、傷の治癒に必要なたんぱく質などの栄養素が不足するため治癒に時間がかかり、体力の低下から感染症に罹患してしまう危険性があります。

主治医につらい食事摂取困難を相談してもいいの?

自宅での治療や療養の場合の栄養管理は、患者が解決すべき問題という印象をもつ人も多いかもしれません。しかし、それは誤った考え方です。医師は、患者が治療の開始および継続できる体力や良好な身体状況であるかどうかを正確に判断し、可能な限りサポートしたいと考えているのです。そのため、自宅で栄養摂取が困難な状況にある場合は、きちんと主治医や専門家に伝えましょう。相談を控えていても状況は変わりませんので、必要な治療を無理なく予定通りに進めていくためにも、積極的に専門家によるサポートを受けましょう。

どのようなサポートが得られる?

それでは、主治医をはじめとする専門家に栄養摂取困難の状況を相談した場合に、どのようなサポートが得ることができるのでしょうか?

現在では、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師などで構成された患者さんの栄養問題について連携するチーム、NST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)をもつ施設もあります。主治医をはじめとする専門家に栄養摂取困難な状況を相談した場合に、NST による指導を受けることができます。NSTをもたない施設では、医師が必要と考える専門家からのサポートや専門窓口などの紹介を受けることができます。

具体的なNSTによるサポート内容には、栄養状態の評価、栄養管理状態の確認、状況にふさわしい栄養管理法の指導や提言、栄養管理上の疑問の解決に応じるなどがあげられます。施設によって内容が異なる場合がありますので必要な場合は確認してみてください。

まとめ

最近では、がん治療や療養を支える方法の一つとして栄養療法が注目されています。これは、必要と考えられる一部の栄養素のみを補うのではなく、健康時には毎度の食事から摂取できている、糖質・脂質・タンパク質の3大栄養素とビタミン、ミネラルを加えた5大栄養素を補うという療法です。薬で対処するだけでなく、体に必要な栄養をバランスよく補うことのできる医学的な根拠のある栄養剤などの処方を受けることが可能になります。栄養摂取に不安がある場合には、治療に専念するためにも、一人で悩まずに相談することから始めてみてはいかがでしょうか?

参考: