再確認しよう!がん治療中の下痢と対処方法

がんの治療中や療養中に、便秘とあわせて下痢に悩む人も多く見られます。がん治療中の下痢はなぜ起こるのでしょうか? 今回は、がんの治療中、療養中の人にぜひ確認していただきたい、下痢の症状とその対処方法についてご紹介します。

下痢はなぜ危険?

軽く考えがちな下痢の症状ですが、どのような危険性があるのでしょうか。

慢性的な下痢の症状がある場合には、重大な病気が隠れている可能性があります。また、慢性的な下痢は必要な栄養摂取が十分にできないため、体重減少や体力の低下をもたらします。特に脱水症状があるにもかかわらず、十分な水分とミネラル補給が行われていない場合は、症状を重篤化させてしまいます。脱水の分だけ全身の血液量が減少するため、臓器へ十分な栄養が届かず体への悪影響を及ぼします。

がん治療中、療養中に起きる下痢の原因

  • 治療による原因

がん治療中の下痢症状の原因は、がんの症状の一つとして現れるものと、治療に使用される薬剤の影響が考えられます。正常な状態であれば、適度な速さで便が腸内を通過するため水分の吸収がきちんと行われます。しかし、がんの影響により腸がふさがれ、便がスムーズに通らない場合は便秘に、逆に腸の中を便が急激に通る場合には下痢を生じます。

  • 精神的な原因

がんという診断を受けたショックや、治療自体からくる副作用による不安などが原因となり、下痢を生じることがあります。

  • 外的な原因

がんの治療が免疫システムに影響を及ぼすと、ウイルス、細菌、寄生虫など下痢を生じる感染症にかかりやすくなります。

  • 食事の原因

下痢を生じる原因となる食品の成分には、乳製品に含まれる乳糖、果物に含まれる果糖、砂糖不使用の製品に用いられるソルビトールなどの人工甘味料があります。上記の糖を多量に摂取すると下痢となるのは、多糖類であるため分解が難しい等の原因が考えられます。また、通常の砂糖(二糖類)も含めて糖分を多量にとると腸管が水分を腸内に分泌するため、下痢の原因となることがあるようです

下痢のときの食事のポイント

下痢は体の水分やミネラルを大幅に減少させます。脱水を予防するため、排泄するたびにコップ1杯以上の水分を摂取しましょう。水のほか、残渣物を含まないような薄めのお茶、すまし汁、スポーツドリンク、リンゴジュースなどは消化器官に負担の少ない飲み物です。これらを活用して水分と栄養補給をするよう心がけましょう。

また、1回に食べる食事の量を減らすようにしましょう。消化に負担の少ないものを、少量ずつを、回数をこまめに分けて摂取することで、体に必要なカロリーをきちんととることができます。また、過度に熱いものや冷たいものは避けましょう。

ポイントは、失われた水分とミネラルを上手に補給することです。食事制限のない場合には、カリウムを多く含むバナナ、果物ジュース、塩分を多く含むスープ、クラッカーなどの摂取を心がけましょう。スポーツドリンクはカリウムや塩分などのミネラルを多く含みますので、下痢の際には水分とミネラル補給を同時に行える手軽な方法になります。ヨーグルト、レモン、バナナ、アップルソースなどに含まれるペクチンは下痢の症状を緩和する作用も。肉類、卵、豆腐などのタンパク質は、疲労回復を促しますので、適度な摂取を心がけましょう。

食事内容で特に注意したいポイントは、消化器官に負担となるもの、刺激となるものを避けることです。ナッツ類、生の野菜・果物、芋、栗などの腸内で発酵しやすい食品は、ガスを発生させて消化器官を刺激する原因となります。他に消化器官に負担となるものは、揚げ物を含む高脂肪食品、全粒粉食品、ふすま製品などがあります。刺激物であるカフェイン、アルコール、炭酸飲料、たばこなども下痢の症状が軽快するまで摂取を控えましょう。アルコールは脱水を悪化させる原因にもなり、喫煙は消化器官にも影響を及ぼしますので、できるだけ避けましょう。

肛門の不快症状についての対策

下痢になると排泄の回数が増えるため、肛門の不快感やトラブルを生じやすくなります。ウォシュレットやウェットテッシュなどを使用し、できるだけ少ない摩擦で清潔を保つようにしましょう。肛門部の不快感が強い場合には、排泄のたびにワセリンを塗布し、こまめに保湿してください。不快感の改善には、温かいお湯や腰湯につかることもよいでしょう。肛門部を洗う際には、低刺激の石鹸を使用してください。

下痢の症状が軽快したときの注意点

下痢の症状が軽快してきても、油断は禁物です。食物繊維の多いものは少しずつ量を増やすなど、慎重に食材を選びましょう。まずは、低繊維食品の肉、魚、乳製品、小麦粉食品などの摂取からはじめ、徐々に固形の食物を取り入れていくとよいでしょう。主治医から食事の摂取内容や方法に指示がある場合は、きちんと守るようにしてください。

まとめ

下痢は、日常生活で多くの人が経験する症状のひとつです。とはいえ、下痢の状態が長期間続き、日常生活に支障をきたす場合は、体だけでなく心もストレスを受けてしまいます。症状が現れたら、すぐに担当医や専門家に相談するようにしましょう。また、脱水の程度を自己判断して軽く考えると、重度の脱水症状に至る場合もあり、非常に危険です。重度の脱水症状が起きた場合には、家庭での経口飲料水の摂取だけでは改善しませんので、めまいや口渇(口の渇き)、また、尿量や発汗の減少を強く感じるときには早めに医療機関を受診しましょう。

参考: