リンパ浮腫の原因と対処法 腕や脚のむくみを軽減させるために

がん治療の後遺症として多くの方が悩むリンパ浮腫。腕や脚がむくみ、症状がひどくなると生活に支障をきたすこともあります。症状が出たらなるべく早い段階で治療を開始するのがよいとされています。そこで、リンパ浮腫の原因や発症時期、症状を悪化させないための対処法などをご紹介しましょう。

おもな原因を知りましょう

リンパ管というのは、動脈や静脈のように、体の中に張り巡らされた管です。全身の皮膚のすぐ下にあります。このリンパ管の中にはリンパ液が流れており、タンパク質や白血球を運んでいます。また、リンパ管にはリンパ節という組織があり、全身に感染が広がったり、がんが全身に転移したりすることを抑えています。リンパ節があることがよく知られている場所として、脇の下、脚のつけ根、首のつけ根などありますが、全身には数百ほどのリンパ節があります。

リンパ浮腫はそうしたリンパ管を損傷したり、リンパ管の閉塞によって体液がうまく流れなくなったことで起こるむくみのことを言います。

例えば、がんの治療ではリンパ液の流れによってがんが広がらないように、危険性のあるリンパ節までを手術で取り除くことがあります。また、放射線治療によってリンパ節がダメージを受ける場合もあります。こうした際に、リンパ液の流れがそこで滞ってしまうことがあります。停滞したリンパ液がリンパ浮腫の原因となるのです。

リンパ浮腫の症状は?

がん治療の副作用や後遺症として必ずリンパ浮腫がでるとはかぎりません。しかし、リンパ浮腫はいったん発症すると、なかなか改善しにくい症状であるとも言われています。したがって、早期に発見し、すぐに適切な治療を始めることが大切です。そのため、リンパ浮腫の症状について知っておきましょう。

早期の症状

自覚症状がない時期です。むくみに気づかず症状を悪化させることがありますので、日頃から注意が必要です。

以下のポイントについてチェックしましょう。

  • 静脈の見え方はどうでしょう。いままで見えていた静脈が見えなくなっていませんか?
  • 皮膚をつまんでみましょう。しわが寄りにくくなっていませんか? しわが寄らず、張った状態になっている場合、むくみが出ている可能性があります。

軽度から中等度の症状

腕や脚ががん治療前に比べて太くなったり、だるさ、重さを感じるようになります。また、体のむくんだところを指で強く押すと跡が残るようになります。

出やすい場所は人それぞれですが、左右の腕、太ももの太さの違いなどを確認しましょう。

測定記録を残しておくのも早期発見に役立ちます。以下の部位について定期的に測るとよいでしょう。

  • 脚:脚のつけ根の周囲、膝の上部周囲、膝の下部周囲、足首、足幅
  • 腕:腕のつけ根の周囲、肘上部の周囲、肘下部の周囲、手首、手のひら周囲

重症化した場合

見た目にもむくみがわかる程度になると、皮膚が乾燥しやすくなり、硬くなります。また、肘、手首、指、膝、足首などの関節は曲がりにくいと感じるようになります。何らかの姿勢を取るとき、何かを握ろうとするとき、そうしたふとしたときに違和感があれば、すぐに対処を考える必要があります。

リンパ浮腫への対策と対処法を知りましょう

リンパ浮腫はリンパ液がうまく流れず停滞することによって起こります。つまり、リンパ液の流れを促してやれば、リンパ浮腫は改善が期待できます。したがって、日常生活の中におけるリンパ液の流れを促すような工夫が基本的な対処法になります。

では、具体的にはどのような方法があるのかをみてみましょう。

  • 食事や体重管理は、リンパ浮腫への対処においても重要です。食事はバランスの良いものを適量、摂取するように心がけましょう。刺激の強いものやアルコールも適量を超えないように注意が必要です。
  • しめつけがきつい下着や衣類、時計や指輪などの装飾品は避けるようにしましょう。
  • ヒールの高い靴や小さすぎる靴も避けましょう。
  • 強すぎる温熱刺激も良くありませんので、暖房器具の使用の際や長時間の入浴、サウナには気をつけましょう。
  • 子宮がんや前立腺がんなどの治療後は、足を伸ばして座るようにしましょう。
  • 休む際には、むくみの出ている手、脚などは少し高くするとむくみが改善されるようです。

治療が必要な場合

早期のリンパ浮腫で自覚症状はない段階であっても、なんとなく違和感があるようなら、まずは担当医に相談しましょう。早期に治療を始めることで重症化を防ぎます。

また、それぞれの症状に応じて、圧迫療法、用手的リンパドレナージ(リンパ液を正常に機能しているリンパ節へと流していくために行う医療用マッサージ)などを組み合わせ、専門的に治療をし、症状の改善をはかる場合もあります。

弾性ストッキング、スリーブなどを利用した圧迫療法や用手的リンパドレナージなどはセルフケアとして行う場合であっても、専門的な知識を持った医療従事者にアドバイスを受けながら行うことが大切です。決して自己判断で行わないようにしましょう。

早期発見のために

リンパ浮腫はだれしもが経験する症状ではありませんが、早期には気づきにくいものです。早期発見のためには、日頃から自分の身体の状態を観察すること、ケアすることが大切です。例えば、スキンケアもそのひとつ。皮膚状態などをみながら、ケアを行いましょう。また、スキンケアはリンパ浮腫が重症化して皮膚が乾燥しやすくなった場合にも、必要なケアになりますので、習慣づけておくことをおすすめします。そして、初期の症状を見逃さないようにしましょう。

参考: