要注意!がん治療中の洗濯物の取り扱い方

がんの治療に取り組むとき、ぜひ理解しておいたほうがよいことがあります。例えば、これから抗がん剤の治療を予定している場合には、汚れ物(吐物や排泄などの汚染のあるもの)の取り扱い方などはそのひとつです。これは、家族へ不要な抗がん剤の曝露を避けるために重要です。そこで今回は、家庭で汚れ物を洗濯する際の正しい取り扱いについてご紹介します。

なぜ洗濯物の取り扱いに注意が必要?

抗がん剤の治療中に、洗濯物の取り扱いに注意を払う必要があるのはなぜでしょうか? それは、点滴や経口など薬の投与方法に関わらず、体に入った抗がん剤の成分が尿、便、汗、血液、吐物などと一緒に体の外に排泄されるため、衣類などに付着する可能性があります。それを普段のように他の洗濯物と一緒に扱うと、薬剤が付着していない物にも二次的に付いてしまう可能性があるからです。

体から排泄された、洗濯物に付着した抗がん剤がどの程度の毒性や影響を持つのかは、今のところ具体的な情報はありません。とはいえ抗がん剤の投与期間中、推奨されている洗濯物を取り扱う方法がありますから、確認をしておいて、実施するようにしましょう。家族や身近な人への不要な曝露を防ぐためにも大切です。 

抗がん剤治療中の洗濯物の取り扱いポイント

抗がん剤治療中の人の洗濯物をどう扱えば良いのか、薬物の付着した可能性のある衣類などを普段と同じように洗濯しても良いのかなど不安はつきません。それらの取り扱い方についての具体的な方法を以下にご紹介します。ですが、これらについてはあくまでも目安です。治療を受けられる薬の種類や投与期間によって指導内容が異なることもありますので、疑問が生じた際には治療担当医や担当看護師に確認するようにしましょう

  • 洗濯物を分別する

洗濯する際には、家族と抗がん剤治療中の人の洗濯物は必ず分けて洗濯するようにしましょう。洗濯ごとに洗濯槽の洗浄は不要ですが、分けずに一緒に洗濯してしまうと、抗がん剤の曝露のなかったものも汚染してしまいます。決められた期間は特に注意して洗濯物を分別しましょう。 

  • 洗濯に必要な物品

抗がん剤による汚染の可能性がある洗濯物の洗濯であっても、専用の洗剤などではなく家庭用の日常生活で使用する洗剤と水、ぬるま湯でも十分に洗浄することができます。

吐物や排泄物に手指が触れてしまう場合に備えて、薬局などで化学療法薬剤に耐性のあるラテックスなどの手袋を準備しておくのもよいでしょう。

  • 吐物、排泄物が付着した洗濯物の場合

吐物、尿、便などの排せつ物の付着が明らかな洗濯物は、洗面器などでの漬け置き洗いなどは行わず、直接洗濯機に入れて、日常生活で使用している洗剤を用いて2回洗濯してください。「しっかり汚れを落とすため」と洗面器などで漬け置き洗いをすると、水や洗剤などの飛散などによって洗濯を行う人だけでなく洗濯場やシンクが汚染される原因になりますので注意が必要です。どうしても漬け置き洗いのような念入りな洗濯をしたい場合には、洗濯機の機能を上手に活用し、人の手を用いて洗濯することはできるかぎり避けるようにしましょう。

汗の場合は、洗濯物を分別しての洗濯を行います。そのなかでも、大量の汗が付着したタオル、寝衣、寝具などの場合は、吐物や排せつ物の付着した洗濯物と同様に2回洗濯するとよいでしょう。

  • 洗濯物を取り扱う際に排せつ物などが肌に付着した場合

気づかぬうちに洗濯物に付着した排せつ物などに触れてしまった場合には、直ちに水道水で十分に洗い流し、石鹸を用いてしっかり洗いましょう。もし、排せつ物などが付着した皮膚に異常が見られた場合には、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。肌荒れなどの皮膚トラブル、傷などが手指にある場合には、使い捨てのラテックス等の手袋を着用すると、不要な抗がん剤の曝露やそれに伴うトラブルの予防に役立ちます。その際に使用した手袋は、直ちにビニール袋で密封してからごみ箱に入れてください。

  • 洗濯物の取り扱いに注意が必要な期間

内服により抗がん剤を連日服用している場合は、服用最終日から2日間は注意が必要とされています。点滴による抗がん剤投与の場合は、投与後2日間とされています。

抗がん剤のファルモルビシン、シスプラチン、ゲムシタビン、タキソテール、ドキソルビシン、エンドキサン、オンコビン、エトポシド、ブレオの投与を受けられている場合には、投与後7日間は注意が必要とされています。

  • 洗濯物を直ちに洗濯できない場合の保管について

何らかの事情によって直ちに洗濯できない場合には、洗濯物をかごなどの解放された環境に放置せずに、必ず大きめのビニール袋などで密封して保管してください。通常の洗濯物と同様に放置期間はできる限り短くしましょう。

まとめ

今回は、抗がん剤治療中の人の洗濯物の取り扱い方についてご紹介しました。「家族を差別しているように感じて気が引ける」「孤立感を感じる」などと思われるかもしれませんが、洗濯物の取り扱いに注意が必要な期間はごく短期間です。治療を支えてくれる大切な家族のためにも、不要な抗がん剤の曝露を防ぐための対策について話し合ったり、できる準備を一緒にすすめてみてはいかがでしょうか。

参考: