胃がんの術後、食べられないときはどうしたらいい?

胃がんの手術後の悩みのひとつに「思うように食べられない」というものがあります。「体力回復のためにも食べなければ」という思いに反してなかなか食事ができないと、心配になったり、焦りを感じたりすることもあるでしょう。今回は、そのような術後の「食べられないとき」についてのアドバイスをご紹介します。

吐き気がひどいとき

「思うように食べられない」理由にはいろいろありますが、吐き気や嘔吐がひどくて「食べられない」場合もそのひとつでしょう。

吐き気は、においや味のほか、見た目も誘因になることがあります。吐き気を誘わないような食材や盛り付けを工夫しましょう。プリンやゼリーなどの冷たいもの、口当たりのよいもの、水気の多いものが食べやすいようです。

食べたものをすべて吐いてしまうようなときには無理せずに、食事を1回お休みにしてみるのもよいかもしれません。ただし、水分の補給は忘れないようにしましょう。また、吐き気止めなどが処方されることもありますので、吐き気が強いときには、がまんせずに担当医に相談してください。

飲み込みにくい、むせやすいとき

「食べられない」原因には、食べ物を飲み込むのがむずかしかったり、むせやすかったりということがあります。そのようなときには、食材をやわらかくなるまでよく煮る、裏ごしする、とろみをつけるなど調理法にも工夫が必要になります。また、次のようなポイントについても配慮しましょう。

  • 食べるときの姿勢に気をつけよう

一般に45~60度に上体をおこし、あごを引き気味にして食事をするとむせにくいとされています。飲み込みにくさに応じて、むせにくい体勢がありますので、医師や看護師から助言してもらうとよいでしょう。

  • 唇や舌を動かすようにしよう

唇や舌、あご、ほほなどを普段から動かすようにすると症状を改善しやすくなります。マッサージもありますので、看護師や歯科衛生士などにマッサージの方法についてたずねてみましょう。

栄養剤は?

栄養は食事からとるのが理想です。しかし、栄養不足が心配な場合でも、自己判断でサプリメントをとるよりも、まず、担当医や管理栄養士に相談しましょう。疲労回復やエネルギーの補給のためには、栄養ドリンクは手軽で良さそうに思えますが、ブドウ糖やカフェインが含まれているものは避けたほうが無難です。栄養ドリンクの代わりに、牛乳、ヨーグルト飲料、豆乳などでエネルギーを補うのはいかがでしょうか。疲れが気になるときには、休養することが大切です。

必要がある際には、担当医や管理栄養士から栄養剤を飲むよう勧められる場合もあります。現在は、栄養剤も多くのメーカーからさまざまな風味のついたものが出ていますので、勧められた栄養剤が飲みにくい場合には、がまんせず、違うものを紹介してもらいましょう。

まったく食事がとれないときには

食事がまったくとれない、あるいは十分にとれないときには、担当医に申し出ましょう。症状にあわせて適切なアドバイスが得られます。また、経口摂取が難しい場合には、次のような方法で栄養状態を保つことができますので、心配しすぎないようにしましょう。

  • 経管栄養

経管栄養は、胃あるいは腸の中へ管を通し、栄養剤を送り込む方法です。鼻から胃へ管を通す方法や、おなかに穴をあけて、そこから胃や腸の中に管を通す方法があります。栄養を吸収する際に胃腸を働かせることができるので、体にとってはより自然に近いかたちでの栄養補給と言えるでしょう。

  • 中心静脈栄養

中心静脈栄養は、食べたり飲んだりすることが長期間にわたってむずかしいときに行われます。静脈に点滴をして、栄養や水分を補う方法です。入院中だけでなく、退院後も自宅でおこなうことが可能です。

リハビリで大切なこと

胃を切除したことは、体にとって大きな変化です。術後の回復がすすみ、少しずつ食べられるようになってきても、今までの「胃」ではないことを忘れないようにしましょう。口が胃の代わりであるつもりで、食事の際にはよく噛むことが大切です。また、朝食後には必ずトイレに行くなど、排便の習慣もしっかりつけるようにしましょう。

減少しやすい体重を維持するためには、運動が効果的です。ストレッチだけでなく、散歩や洗車、階段の上り下りも運動になりますので、日常生活の中で機会を見つけては体を動かすように心がけましょう。腕立てふせやスクワットなどの筋肉をつける運動は、特に効果的です。体を動かすことに慣れてきたら、筋肉をつけるような運動も少しずつ毎日行うようにするとよいでしょう。

焦らず、気長に!

思うように食べられない日々が続くと、だんだん心配になってくることと思いますが、それでも、1年くらいたてば食事ができるようになります。いろいろな手立てがありますから、まったく食べられないときがあっても心配しすぎず、「焦らず、気長に」を合い言葉に、徐々に食事することに体を慣らしていきましょう。食べられないときも、水分の補給だけはどうぞお忘れなく。


参考: