がん治療中の排泄とトイレの悩みについて

がんの治療中は薬などの影響で排便、排尿にトラブルを発症することがあります。たとえば、便がゆるくなったり、逆に硬くなったり、残尿感が残ったりといった不快感を訴える人が多いようです。けれども、排便、排尿の相談はしにくいため、悩みをひとりで抱え込んでしまう場合があるかもしれません。

そこで、少しでも快適な毎日を過ごすために、こうした排泄トラブルの原因および対処法、管理法などを紹介します。

排泄トラブルを起こす主な原因

私たちの体がもっている消化・吸収と排泄のメカニズムが何らかの原因でうまく機能しなくなったときに、排泄のトラブルが起こります。それはがん治療に限るものではありませんが、大腸がんや直腸がん治療の際には、手術や薬、放射線の影響によって発症することが多いようです。

たとえば、直腸がんの手術で直腸を切除した場合、便をためておく部分が小さくなります。この状態では便がためておけないので、頻繁に排便が必要になります。

直腸がんの手術や薬、放射線の影響で骨盤のなかにある自律神経がダメージを受けた場合も排尿トラブルが起こることがあります。尿意を感じにくくなったり、自力で排尿しにくくなったり、残尿感が出たり、尿もれを起こしたりといった症状が出やすくなります。

大腸の手術を受けた場合は、食べ物が腸を通過する時間が短くなるため、十分に水分を吸収できずに、便がゆるくなることが多いようです。また、排便回数も増える傾向にあります。逆に、大腸の癒着が発症した場合には、大腸の動きが悪くなり、便を肛門に送る力が弱くなるので便の滞留が起こります。これは便秘やおなかが張るといった症状に現れます。

そのほか、胃などの消化器がんを治療するために手術を受け、その後に抗がん剤治療を受けた場合にも、軟便、下痢、便秘といった症状が起こりやすくなります。

日常的な対処法

ある程度の症状は食事や水分量の調節で解消されることもあります。しかし、個人差もあるので、便やガスが出にくくなり、おなかの痛みや吐きけ、嘔吐が強く現れる場合は、まず担当医と相談し、アドバイスを受けながら対応すると良いでしょう。

下痢への対処

下痢がひどくて日常生活に支障が出る場合は、担当医に相談して適切な薬を利用することもありますが、その際にも、水分を控えるのは良くありません。下痢の症状がある場合は、とくに脱水症状を起こすことがありますので、水分補給は意識的に行ってください。しっかりと水分を摂取しながら、消化の良い食物をゆっくりと時間をかけて食べるようにしましょう。

便秘への対処

便秘やおなかの張りは、便が腸のなかで滞留するため起こります。ですから、おなかを温めたり、やさしくマッサージしたりして、腸の動きを促すようにしましょう。どうしても排便しにくい場合には、担当医と相談をして、緩下剤を処方してもらうこともできます。症状が長引いたり、激しい痛みを伴ったりする場合は、腸閉塞の可能性もあるので、すぐに担当医に相談することが必要です。

頻繁な便意への対処

頻繁に便意をもよおすようなら担当医への相談が必要です。

肛門をキュッとしぼめたり、力を抜いてゆるめたりを繰り返すストレッチを1日に10回ほど行ってみるのも良いようです。

排尿トラブルへの対処

尿意を感じない、膀胱に尿がたまっているのに排泄するタイミングがつかめないから水分摂取をためらう、あるいは残尿感があるという場合には、水分を控える人が多いようです。しかし、これは逆効果です。尿意を感じなくても、残尿感があって何度もトイレに行かなければならなくても、水分補給とトイレに行くことは定期的に行ってください。尿を排出することで体内の水分バランスを保つので、排泄をしたら十分な水分を補給し、また排泄するという繰り返しが体にとって大切なのです。

不快な残尿感が続いてつらいときには、がまんせずに担当医に症状を伝え、必要に応じて薬を処方してもらいましょう。また、残尿感は強くあるのに、自力で排尿できない場合は、カテーテルなどを使い、直接、尿を取る処置をすることもあります。

上記に紹介したような症状に加え、便やガスが出にくくなり、おなかの痛みや吐きけ、嘔吐が強くあらわれた場合には、すぐに受診しましょう。自己判断は禁物です。

ストーマケア

直腸がんや膀胱がんなどの治療で、膀胱と尿道の一部を切除する必要がある場合には、下腹部にストーマという人工の肛門や尿路出口が作られることがあります。

ストーマでは排泄物を自分の意志にかかわらず、少しずつ排泄することになりますから、特殊な袋を装着し、その袋(ストーマ袋)に溜めてから捨てるということを行います。

最近では一時的なストーマを利用することも多いようです。たとえば、肛門の近くに発症したがんを切除した場合などは、縫合不全を防ぐために一時的にストーマをつくります。その後、縫合部がふさがり、傷口も安定してくると、肛門を利用するように消化管を開通させます。

ストーマケアというと大変なことのように感じますが、くわしい説明やビデオなどを活用して使い方などを教えてもらえます。上手に使いこなして、日常生活の負担を軽減する方法のひとつとして考えてみましょう。

参考: