がんの後遺症、足や手がむくむリンパ浮腫とは?

がんの治療後、手足がむくむ症状が引き起こされることがあります。これは、がんによってリンパ節を取り除いたり、放射線治療などでリンパ液の流れが阻まれたりすることにより生じるものです。このような症状を「リンパ浮腫」と呼びます。リンパ浮腫は、体がだるい、重い、疲れやすいなどの症状をひきおこし、重くなると日常生活に支障をきたすことがあります。また、一度発症すると治りにくいため、注意が必要です。

リンパ浮腫の原因

リンパ液とは、皮膚下のリンパ管を流れる、血液とほぼ同成分の液体です。リンパ球とよばれる体の免疫系を担う白血球の一種が中を流れており、老廃物を排出するなどのはたらきをしています。

リンパ浮腫は、このリンパ液の流れが滞り、皮膚下にたまることにより起こります。がんによるリンパ節の除去、放射線の治療などもリンパ液の流れを滞らせる原因のひとつです。

脇の下や足の付け根には、リンパ液が集まる大きなリンパ節があるため、ここに影響が出ると、手足のリンパ液が行き場を失い、四肢がむくむという症状が出ます。

たとえば、前立腺がんや大腸がんの治療により骨盤のリンパ節が除去されると、それまで骨盤のリンパ節に流れ込んでいた足のリンパ液が行先を失い、そのまま足にとどまりむくみの原因となるのです。

リンパ浮腫の症状

リンパ浮腫の症状は、大きく分けて軽度のもの、中度、重度の3段階に分かれます。どの段階でも痛みを伴うことはあまりありません。

軽度のものは、リンパ液が流れる場所を失い、皮膚の下にたまってきた状態です。皮膚に厚みが出てきて、透けていた静脈が見えにくくなるなどの症状が出ることもあります。

中度になると、腕や足が目視で明らかに違うほど太くなり、だるい、重い、疲れやすいなどの症状が出てきます。むくんだところを指で押すと跡が残るのが見られるようになります。

また、重度になると、指、ひじ、ひざ、足首などの関節がまがりにくくなったり、手を動かしづらくなったり、歩行が困難になるなどの症状に発展します。

リンパ浮腫の予防

リンパ浮腫の予防には、日々の目視による腕や足の太さのチェックが大切です。日常生活の中では、強いマッサージや激しい運動、重いものを持つことを避けましょう。正座など、リンパの流れを阻むような姿勢も好ましくありません。リンパ液の流れが滞ると、免疫系の働きが弱くなってしまうため、感染症にかかりやすくなります。そのため、清潔にしておくなどの心がけも必要になります。

リンパ浮腫の治療方法

リンパ浮腫の治療は、リンパ浮腫専門のドレナージ(リンパマッサージ)を行ったり、圧迫療法とよばれる専用の弾性着衣、弾性包帯などを用いて皮膚のむくみを軽減し、リンパ液がたまるのをふせぐ方法を用います。どちらも、美容目的のものとは異なりますので、専門の資格を持つ医療者のもとで行う必要がありますので、ご注意ください。

がん治療後はリンパ浮腫の兆候を見逃さないようにしよう

がん治療後も、治療が終わったからといって安心することはできません。リンパ浮腫の発症時期には個人差があり、10年以上経過してから発症する場合もあります。日々の変化に注意して、症状を発見したときは、早めに専門家に相談するようにしましょう。