がんの「痛み」とどう向き合う?

がんによって生じる痛みはさまざまで、痛みの治療法も多岐にわたります。
そもそも、がんの痛みとは何なのか、どのような治療法があるのか、医師とのコミュニケーションのとり方とあわせてご紹介しましょう。

がんの痛みとは?

がんの痛みは、発生の原因によって大きく4つに分類されます。

がん自体の痛み
がんが周りの組織に広がることによって生じるもので、がんの痛みの約7割を占めます。骨や内臓など、転移する部位によって痛みの程度は変わり、神経が圧迫されると激しい「しびれ」が起こる場合もあります。

治療による痛み
手術後の傷の痛みや、抗がん剤治療によって生じた口内炎による痛みなどがあげられます。放射線治療では、皮膚の火傷や腸炎で痛みを感じることがあります。

がんに関連する痛み
寝たきりが続くと筋肉がやせて関節がかたくなり、痛みが生じます。同じ姿勢で寝ていることでできる床ずれ(褥瘡)も、痛みの原因となります。

がんに直接関係のない痛み
もともと患っていた病気の痛みや、免疫力低下によって帯状疱疹(ヘルペス)にかかり、強い痛みを感じることがあります。

がんの種類や進行度にもよりますが、末期になると約7割の患者さんが痛みを感じ、そのうち約8割の方が激しい痛みを感じるといわれています。ただし、がんの痛みは適切な治療法によってコントロールできるものです。

では、具体的にどのような治療が行われているのでしょうか。

痛みに対する治療法

WHO(世界保健機関)は、「がんの痛みは治療できる症状であり、治療すべき症状である」と述べています。がんの痛みに対する治療法は、おもに次の3つに分類されます。

1. がんの治療
手術や放射線治療、抗がん剤の投与によってがんそのものを治療することで、痛みを軽減する方法です。

2. 神経ブロック
痛みを伝える神経やその周辺に薬を注入し、痛みを取り除く方法です。大きく分けて、局所麻酔剤と神経破壊剤の2種類があります。局所麻酔剤は歯科治療で用いられるものと同じで、局所的な痛みを一時的に取り除きます。さらに痛みが強い場合は、鎮痛効果が長期間持続する神経破壊剤を使用します。

局所に作用する神経ブロックにより、劇的に痛みを取り除くことができますが、がんの痛みは広範囲にわたる場合が少なくありません。そこで、鎮痛剤を併用してさらに痛みをコントロールしていきます。

3. 鎮痛剤の使用
痛みの治療に用いられる鎮痛剤は、おもに炎症を抑える「消炎鎮痛剤」やモルヒネなどの「オピオイド」があげられます。偏見をもたれがちなモルヒネですが、医師の管理下で適切な使用をすれば痛みを安全に和らげることができますし、依存性もみられません。

痛みを訴えることの大切さ

日本には「我慢」を美徳とする習慣があり、痛みは我慢しなければいけないと思い込んでいる患者さんも少なくありません。しかし、痛みは目に見えないものです。我慢することで症状を悪化させることのないよう、早めに医師に相談しましょう。

痛みを伝えるときは、「いつから」「どのように」「どれくらい」痛いのか、できるかぎり具体的に話しましょう。痛みの程度を言葉で説明することは難しいものなので、痛みの度合いをはかる「スケール」を使うのも良い方法です。痛みを十分に緩和してもらうためには、症状をできるだけ正確に理解してもらうことが大切です。

まとめ

WHOは、「患者さんには痛みをコントロールするために、十分な鎮痛薬を要求する権利があり、医師にはそれを投与する義務がある」と提言しています。がんの治療と同時に痛みの治療を受けることは、患者さんがもつ大切な権利なのです。
痛みの治療は、まず痛みを訴えることから始まります。痛みを感じたら、なるべく早めに症状を伝え、適切な治療を受けましょう。